
植物・動物問わず多くの生物には「光周性」があり、自然界では昼と夜の長さで季節を感じさまざまな反応をしています。この中で、植物に花芽ができる反応に注目すると、長日植物・短日植物・中性植物に分けることができます。短日植物は単純に「日が短くなると咲く」というわけではなく、夜に相当する暗い時間が一定以上の長さになると花芽を作る植物で、その長さは植物の種類や系統・品種によってさまざまです。
短日植物として有名なコスモスは、夜の暗い時間が一定の長さになり花芽ができると草丈が伸びなくなります。ですからあまりに早い時期に発芽してしまうと花芽ができる前にどんどん背が伸びてしまい、倒れやすくなるので注意が必要です。また、街灯や玄関先の照明が当たる場所では人工の光が暗さを遮るため花芽ができるのが遅れ、その分、草丈も高くなりがちです。
室内鉢物ではポインセチアが短日植物の代表的な存在ですが、カランコエも短日植物です。カランコエの鉢物を室内で管理していると徐々に花が少なくなり、ついには花が咲かなくなりますが、これは室内の照明がカランコエにとっての「夜の時間」を短くしていることによります。このような場合はポインセチアと同じように、照明の当たらない部屋へ移すか箱を被せるなどして、暗い時間を秋の屋外と同じ程度に保つことで花芽ができ、また咲かせることができます。
(文と写真:雪印種苗株式会社 研究開発本部 不破規智)